2018.10.25 Thursday
2014.09.27 Saturday
札幌、A邸リフォーム
今年の夏から工事を進めていた、札幌の住宅リフォーム、A邸が完成しました。
内容は、既存の屋根と在来工法の骨組みは生かしつつ、キッチンとリビングを少し増築し、内外装の仕上げを一新。
性能面でも、1Fは既存の発砲系熱材をロックウールに入れ替え、付加断熱ではGWボード45mmを2重に貼って、高性能断熱材が合計210mmの壁となり、小屋裏の断熱材も400mmに吹き増ししています。
設備はデマンド換気とエアコン暖房(ズバ暖)、給湯はエコジョーズ。
築29年の木造住宅が、従来の半分以下のエネルギーで暮らせる家に生まれ変わりました。
内部の様子を少しお見せします。
エントランスは石貼り。
左は大工さんが造作した収納。
玄関脇の腰板見切りには箒などを引っ掛けるPEGを付けました。
リビングの大きな窓からは、前住人が残した、多種多様な花が植えられた小さな庭が眺められます。
庭を見ながら、小さなワークスペース。
キッチンは北の住まい設計社のオリジナル。
シンプルなグレーのタイルとナラの床材は相性が良いです。
寝室の押し入れ棚板、目隠しはカーテンで。
北の住まい設計社オリジナルの洗面台、高窓から光が差し込みます。
アクセントのグレーの壁紙が映える階段を登って。
2Fはオープンスペースと個室が2部屋、奥が2FのWC。
トイレはタンクレスではありませんが、お掃除のしやすい様に、わざと壁から離して据え付けました。
これは工事前の住宅。
内外共に見違える様にきれいに生まれ変わりました。
2014.09.14 Sunday
人の手と知恵
先日、木取り場の前でスガヌマさんが加工していた杉のアイジャクリ野地板。
北の住まい設計社の家づくりでは、破風板や垂木、野地板、法的な制限がかからなければ、出来れば無垢材を使い仕上げたいと考えています。
アイジャクリの野地板はさらし(見上げると見える箇所)に使います。
仕上げは外壁と同じく、杉材の風化や経年変化を早めてくれるウッドロングエコ。
ムラカミさんが1枚1枚丁寧にならべて、農業用の噴霧器で塗装していきます。
以前はブラシで塗り込んでいましたが、他の工務店さんからのアドバイスで噴霧器を使ってみたところ、飛躍的に早く、きれいに塗れることがわかったのです。
気持ちよく進む塗装作業、積み重なっている下の板の方が塗ってから時間が経っていて、変色が進んでいるのが分かります。
建築の世界には、新しい試みがたくさんあるので、創意工夫がとても大切である良い例だと思います。
ひとつには木材の乾燥が大きなテーマとなっています。
通常、建築に使われる針葉樹の平行含水率は20%前後、完成後の室内の環境下では8%以下、高気密住宅の場合はさらに過乾燥にもなりえますので、その差が骨組みや下地の狂い、縮みに繫がり、完成後にじわじわと問題が起きる可能性があります。
一般的には集成材や合板の多用で、動きづらい骨組みにする動きがありますが、北の住まいの無垢材にこだわった家づくりだと、木材の乾燥に挑んでいくしかないと考えています。
家具材の乾燥で培ったノウハウで、道産のエゾマツ、トドマツ、そして道南杉を狂いづらくする試みが始まっています。
こちらも大きなテーマである技術の伝承。
今の住宅産業は経済効率の良いプレカット(機械による骨組み加工)中心で、大工さんが刻むということが本当に少なくなってしまいました。
そのために、30代ぐらいの若い大工さんは、大工仕事の華であったはずの墨付け、刻みにふれる機会がほとんど無く、大工の知恵や優れた技術が途絶えようとしています。
幸いにも、北の住まいの50代、60代の大工さんはみんな切り込み経験者でした。
これから、若い大工にも伝統の技術が継承されようとしています。
切り込みを復活させて想うこと。
人の手が動くことで、知恵や考えが生まれ、より良いものに進化していくということです。
機械加工ではそういったことはほとんどありませんので、設計をしている僕も、大工さんとの対話を重ね、削られていく木材を眺めることで、また、新しいレベルのいえづくりへと向かっていっているのだと想います。
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